脊椎圧迫骨折・後弯変形に対するバルーン椎体形成術

 骨粗鬆症や脊椎の腫瘍(がんの転移、骨髄腫など)によって背骨(脊椎椎体)がつぶれてしまった骨折(圧迫骨折)とそれによって背中が後方に向かって凸に変形した状態(後弯変形)による痛みを改善させるバルーン椎体形成術(Balloon Kyphoplasty; BKP)が、2011年1月から健康保険を使って実施可能(保険適応)となりました。

 

 この治療法は、これまで先進医療や自由診療で行われてきた椎体形成術(椎体内への人工骨や骨セメント注入等の治療)に比べて、安全性と有効性が高まっています。特に風船(バルーン)をふくらませることによって、椎体がつぶれている状態(圧潰)や背中側に凸に変形している状態(後弯)を戻してから、非常に粘度の高い骨セメント(樹脂)を注入することから、骨セメントが骨外や血管内へ漏出する危険性が少ないとされています。アメリカでの臨床成績、本邦での治験において、安全性、有効性(疼痛の軽減、全般的な生活の質の向上)が報告されています。 

 現在のところ本邦では、急性期の圧迫骨折には適応がなく、背骨の骨折から8週間以上経過してもなお痛みと変形が続いている場合や、様々な治療を行っても痛みが残っている腫瘍による骨折に適応があります。

 

 この手技を行うにはメドトロニックソファモアダネック社による講習、もしくは認定病院での手術見学が義務付けられています。なお、当講座の紺野愼一教授は、この手技の日本導入および施設認定基準*を決めたメンバーであり、福島県立医科大学附属病院は認定病院*となっております。


*施設認定基準

1) 全身麻酔下及びエックス線透視下で経皮的後弯矯正術(Balloon Kyphoplasty)を実施可能な施設。

2) 合併症発生時には、速やかに、全身麻酔下での脊椎除圧再建術や、血管修復術などの緊急対応を行うことができる施設。

3) 本機器を使用した手術は、脊椎外科の専門知識を有し、本システム特定のトレーニングを受けた医師のみが行うこと。

 

使用する医療器機

 KYPHON® BKP システム

 KYPHON® ミキサー

 KYPHON® BKP 骨セメントHR-V

 

バルーン椎体形成の手順

 背骨の中に注入された骨セメントは、10分程度で硬化します。手術時間は1時間程度です。

 手術の翌日から歩いて移動が可能となります。

 入院期間は数日です。

 

 詳しくは、担当医にお聞き下さい。

第12胸椎圧迫骨折後の偽関節に対してBKPを行った実例

 84歳の女性に生じた第12胸椎(背骨(胸椎)の最も下端の骨で、腰の骨(腰椎)とのつなぎ目にあたり、最も圧迫骨折を生じやすい部位)の圧迫骨折後に偽関節(骨折した部分がかたまって治らずに、異常な動きを生じるようになった状態)に対して実施されたBKP前後のレントゲン写真です。

 この患者さんは、毎朝布団から起き上がる度に泣くほどの痛みを訴えられ、また、痛みのために長時間腰掛けているも困難でしたが、この手術を行った翌日から痛みもほとんど無く起き上がれるようになり、長時間腰掛けていても背中が痛くならなくなりました。

update    2017年11月13日  10:43

当院では慢性腰痛に対する治験を実施しております。

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