全国骨・軟部腫瘍登録

背景と目的

 全国骨腫瘍患者登録は昭和47年より、全国悪性軟部腫瘍患者登録は昭和60年より、日本整形外科学会骨・軟部腫瘍委員会および国立がんセンターの協力事業として継続実施されてきた。これは、毎年1回、全国の骨・軟部腫瘍診療(整形外科)施設に登録用紙を送付し、前年度に診断・治療した骨・軟部腫瘍症例について記入していただいた後、返送された登録用紙を国立がんセンターで集計、公表してきたものである。その結果は、全国骨腫瘍患者登録一覧表および全国悪性軟部腫瘍患者登録一覧表として刊行され、全国の大学整形外科教室、基幹病院、各登録施設に寄贈されている。

 平成15年度(2003年)の登録症例数は骨腫瘍1,231例、軟部腫瘍558例であり、昭和47年からの骨腫瘍累積登録数は49,768例に達している。この中には代表的悪性骨腫瘍でありながら各大学病院、がんセンターでも年に数例しか経験することのない骨肉腫が3,256例含まれているのをはじめ、軟骨肉腫1,218例、ユーイング肉腫473例など、稀な腫瘍である骨・軟部腫瘍がきわめて多数登録されており、世界的にも類をみない骨・軟部腫瘍に関する貴重な疫学資料となっている。

 骨・軟部腫瘍は稀な腫瘍である上に、発生部位・組織型等も多彩であり、単一施設で十分な数の症例を経験し、知見を蓄積することは困難である。これは国内の各大学病院、基幹施設、またMayo Clinic, Memorial Sloan-Kettering Cancer Centerなど欧米の代表的施設においても同様である。この状況を克服し、これらの疾患に関する知見・治療成績を国レベルで向上させるためには、限られた治療経験を多施設で共有し、最新の医療技術(知識)の速やかな普及、向上を図ることが最も効果的である。

 この目的のために、本邦では前記の全国骨・軟部腫瘍患者登録が行われてきたが、これは主に疾患の発生頻度把握に主眼を置いた疫学研究であったことに加え、開始以来20年を経過し、登録・収集システムの陳腐化、個人情報等の情報管理システムの不備等も漸く目立つようになってきた。そこで、日本整形外科学会骨・軟部腫瘍委員会では、従来の登録システムを全面的に改定し、研究対象者(患者)の尊厳と人権を守りながら、より質の高い疫学研究を継承・発展させていくことを目的として、骨・軟部腫瘍登録ワーキンググループを組織し、本研究を計画した。

 骨・軟部腫瘍の疫学から、治療法、治療成績までを網羅する国レベルの電子化データベースを確立する試みは、本研究が世界初である。本研究によって、単一施設では経験できない多数例に関する臨床知見を全国の施設で共有できるようになることは、特に骨・軟部腫瘍のような稀な腫瘍の診療レベルを向上させる上で極めて有用と考えられ、国民の健康の向上に大きく貢献すると期待される。

 一方、本研究は、法律で規定された地域がん登録とは異なり、あくまでも学会の自発的な研究である。また、登録施設は、全国の基幹診療施設を想定しているため、我が国における骨・軟部腫瘍症例を100%網羅することは困難と考えられる。しかし、本登録は、骨・軟部腫瘍の発生頻度・罹患率など疾患の基礎的疫学情報の収集という側面に加えて、各疾患に対してどのような診療が実施され、どのような治療成績が得られているのかを明らかにするアウトカム研究も大きな目的としており、全国規模で多数例を集計・解析し、その情報を共有することには、大きな意義があると考えられる。

 全国骨・軟部腫瘍登録(以下、本登録と略す)は、我が国における骨・軟部腫瘍(原発性悪性骨腫瘍、原発性良性骨腫瘍、原発性悪性軟部腫瘍、転移性骨腫瘍)の発生頻度とその治療の実態を明らかにすることにより、これらの腫瘍に対する診療・研究の質の向上を図り、国民の健康・福祉の向上に貢献することを目的とする。


対象の選択

 各年度に、全国各施設(病院)で診断・治療された骨・軟部腫瘍(原発性悪性骨腫瘍、原発性良性骨腫瘍(骨腫瘍類似疾患を含む)、転移性骨腫瘍、原発性悪性軟部腫瘍、原発性良性軟部腫瘍)症例

研究期間

 2007(平成19)年 1月〜

 

研究施設

 国立がん研究センター 全国骨・軟部腫瘍登録事務局(主管

 福島県立医科大学附属病院整形外科

 全国大学病院、全国がん(成人病)センター協議会加盟施設、および骨・軟部腫瘍の診断と治療に携わるその他の地域拠点病院

 

主任研究者

 田地野崇宏准教授

 

研究費用

 講座研究費

*当科の実際の登録症例数については、こちらをご覧ください。

update    2017年5月21日  21:00

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