骨軟部腫瘍切除後の骨欠損に対するパスツール処理自家骨移植術の治療成績について

背景と目的

 四肢に発生した原発性悪性骨軟部腫瘍に対する治療原則は、現在も外科的腫瘍切除である。かつては切離断術が主に行われたが、1990年代からは画像診断技術の発展や再建術の開発に伴って、安全な切除範囲を設定した上で、切離断せずに患部を切り取る患肢温存手術が一般的となった。患肢温存手術においては、再発を避けるために腫瘍被膜あるいは腫瘍による炎症などの二次的反応を生じた反応部位から離して、概ね2-3cm以上の厚さの正常組織で腫瘍を包んだ状態で切り取ることが必要であるが、その場合には、腫瘍周囲の正常な骨や関節軟骨を一緒に切り取らざるを得ないことが多い。切除によって欠損した骨や関節軟骨を再建する場合、これまでは①金属やセラミック製の腫瘍再建用人工関節や人工骨幹置換術、②切除した自家骨を殺細胞処理(放射線照射、あるいはオートクレーブ処理やパスツール処理などの加温処理)して戻す自家処理骨移植術、③微小血管外科技術を用いた(遊離)血管柄付骨(肩甲骨・肋骨・腓骨)移植術、あるいは④死体骨や切断肢から採取された同種凍結保存骨移植術などが行われてきた。上記のうち、パスツール処理は、切除した骨を60℃の恒温槽中で30分間加温することによって腫瘍に対する殺細胞処理が確実に行われると同時に、骨内のタンパクが保存され、骨誘導能を保持することが癌研究会附属病院整形外科真鍋らによる基礎実験で確認された。以上の結果を基にパスツール処理自家骨移植は、1990年から臨床応用されており(眞鍋 淳ら:日整会誌 78, 2004)、当科でも1998年以降本方法を実施してきた。一方、金沢大学整形外科の土屋らは、自家液体窒素処理骨移植術を開発し、動物実験の後、1999年以降臨床応用しており、200410月には高度先進医療(現在は第2項先進医療)に認定されている。本法は、腫瘍を有する骨を切除した後、この骨を液体窒素に浸して凍結し、その後解凍することによって、腫瘍細胞に対する殺細胞処理を行ってから、再び体内に戻すという方法であり、骨が低温で凍結されることから、本来骨組織が保有しているタンパクや酵素が熱変性しないで骨内に保存され、処理後に骨強度が低下せず、骨誘導能・骨伝導能が保たれ、従来の加温処理骨移植に比べて、早期に骨癒合が得られるという利点がある。

 本研究の目的は、パスツール処理自家骨移植術と液体窒素処理骨移植術の利害得失を比較検討するために、これまで当科で行ってきたパスツール処理自科骨移植術の治療成績を求めることである。

 

対象の選定

 1998年〜2009年までの間に福島県立医科大学附属病院整形外科において、手術が行われた原発性あるいは転移性骨軟部腫瘍患者のうち、手術時に骨切除を要し、広範な骨欠損を生じたため、パスツール自家処理骨移植術が行われた患者で、評価可能なデータが保存されている症例(15例)を対象とする。

研究期間

 2010(平成22)年 6月〜

 

研究場所

 福島県立医科大学附属病院整形外科

 

主任研究者

 田地野崇宏准教授

 

研究費用

 講座研究費

update    2017年9月22日  12:15

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